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うなぎ釣り。
 ちょっと体力が落ちていて、そういう時は気も小さくなりがちなので、やる気の高まることでも書こうかと思う。例えば、うなぎの話とか。

 ボクが子供の頃、長崎に住んでいて、親父がたまに「うなぎ釣り」に連れて行ってくれた。「うなぎ釣り」と言っても、川に仕掛けをして、というのではなく、どこか(たぶん大波止ではなかったか?)に骨組みと青い養生ビニールで作られた小屋みたいなものの中で、裸電球に照らされながら、男達が真ん中の大きなプールのような水槽に放させているうなぎを釣るのである。小屋の中は湿度が高く、咥えタバコの男達が黙ってうなぎを釣り上げようとしている様は、ボクに猛烈な印象を与えた。ほとんどそれはヤクザの賭け事の現場にいるような気分だった。父は決してボクに釣らせようとはせず、釣るコツを一言二言呟いた後、釣りに没頭していた。

 父は釣りが上手かった。普段、港の近くで釣るときなどは、餌もつけずにカワハギみたいな小魚を「引っかけて」釣ってくれたりもした。返す返すも父の、ボクの知らないスキルを学ばなかったことに悔やみがある。それは自分に子供が出来たときにそう思ったのだが、その頃親父はとうに亡くなっていた。55歳という年は、今考えると、とても若かったんだな、と思う。

 うなぎが特殊な形の釣り針に引っかかると、親父は「ここからが大事だ。」と言った。うなぎはすぐに釣り上げてはいけない。引っかけたまま泳がせておいて、体が弱ってきたところでつりあげるとぞ、マレフミ。ボクは無言でうなぎがそのヌラヌラした体をくねらせて弱っていく様を見ていた。どのうなぎも水槽の中でのた打ち回っていて、どれが引っかけたうなぎか分からなくなってきた頃に、親父はそれを釣り上げた。周りの男達が小さく感嘆の声を上げていた。

 釣ったうなぎは、そのまま「うなぎ釣り」のおばさんの手で捌かれ、その場で蒲焼にして持って帰った。職人でもなんでもないおばさんの焼いたうワイルドな蒲焼ではあったけれど、釣った親父も誇らしく、ホカホカのうなぎを興奮して食べた。あれ以上のうなぎに出会うことはこれから先、ないだろう。
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by dn_nd | 2010-10-04 07:04
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