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ズボンズが最初に全米ツアーを行ったのは、1998年のことである。その頃は現在ほど海外で演奏するということが簡単ではなく(まだ電話とFaxの時代だった。)、アメリカで演奏できるというだけで舞い上がる一方、若く未熟なボクらは上手く自分達のエネルギーをコントロールできず、わがままで気持ちも安定せず、おそらく良いライブができたのは3本に1回程度のものだったと記憶する。またはそれ以下だったかもしれない。最終日のN.Y.C.でのライブが不出来だったために不完全燃焼に思えたツアーだったが、その時の後悔や経験は自分達の大きな燃料になった。次はもっと頑張ろうと思っていたが、またやるまでに12年もかかるとは思っていなかった。
それにしても全米ツアーである。今回は前回行った西海岸はもちろん、行った事のない中西部、南部も含まれている。(シカゴ近郊のミルウォーキーに始まって、反時計回りの行程でシカゴに戻ってくる。)ツアーの規模は前回の2倍だが、ツアーマネージャーも機材スタッフもいない4人旅である。「大変でしょう?」と言う人もいるが、人見知りだし、自分達の時間やコンディションの管理が実に微妙で、なるべく好きなようにやりたいボクらは(好きなところに止まってご飯食べたり、写真撮ったり、好きな道を選んで走ったり)、結局のところ他人の手を借りるより、自らの苦労を選ぶ方である。これは性格だからどうしようもない。 なによりもこの期間休まず音楽を続け、自分達を掘り下げ続けることが出来たのは僥倖であるのに違いない。干支が一周する12年を経たボクらは、随分タフで自信持って演奏できるようになった。自分達には疑いようがなくソリッドなオリジナリティがある。後はそれをステージ上で存分に掘り下げれるだけでいい。12年前のライブが忘れられないといって見に来てくれる人もいるが、その人達は「今」のズボンズをどう感じるだろう。そして、「今」のボクらはアメリカをどう感じるのだろう。 今ここで机に座って文章を書いている自分は、帰ってきてまったく別の自分となって再びここで文章を書くだろう。実感はないが、もちろん。
by dn_nd
| 2010-11-02 07:06
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