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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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脳よりも大きな自分。
 日曜日、無事にイヴェントが終了した。例によって例のごとく、準備期間もプロモーションも殆ど無い状態だったにもかかわらず、沢山の人が集まってくれてとても嬉しかった。何より、熊本のザ・フルーツを東京のお客さんに紹介出来たのは良かった。あのような「好きでただひたすらロックするバンド(=バカ)」と言う存在は、すっかり都会では珍しいものになってしまった。東京にいる、ということは、オーディエンスの反応についても同じことが言えるが、なかなかストレートに心情が表出できない/させない部分がある。バンドはストレートにバカをやっていると、どうにも恥ずかしくなってしまうので、クールにクールにと振舞うことになる。それは一方では、ストレートに出せば高いものになるエネルギーの方向を捻じ曲げてしまうのではないか。とは言え、東京という大都会はその莫大な情報のシャワーと人のbusyなヴァイブレーションで充満していて、とてもじゃないがピュアなままでいることが出来ないところではある。クールでありつつ、エネルギーの高さを保つ、これが難しいところである。

 ともかく、ズボンズも2時間弱のステージを終えることが出来た。長時間のライブになるということで、事前にセットや演出めいたことを考えたりもしたのだけれど、結局ステージに上がり、ボクの指はどう考えても1曲目にやる筈のないCircle Xを弾き始めてしまったので、ボクの脳の方は「ありゃ~、そうなの?」と云う感じで、その後のセットの分析・立て直しをすごいスピードでやらなければならない羽目になってしまった。このように、いつも現場は現場で考える、つまり脳で考えたことを指にやらせるではなく、「指自身」が考え/判断して行動し、それを脳がフォローして最終的に大団円に持っていくということを日頃からやっているので、まぁ、こういうことになっても仕様が無い。ともかく、常に現場は第一線で充分な仕事をしているので、それを信頼して中央は上手くまとめることをやれば良いのである。(と書くと、まるでそれは日本の政治機能の批判をしているようであるが、これはボク個人の一つの身体の中の話である。でも、政治もそうすれば良いのだ。)

 脳で考えることは、あくまで脳の見える光景である。それは「わたし=脳」というものである。しかし、人間というものは、脳が意識できる世界以上のもっと大きな宇宙を抱えている。そのほとんどは無意識と呼ばれるものだ。つまり、脳で考えれることは「自分」という存在の一部に過ぎないのである。(それはまるで真っ暗闇の部屋で照らす懐中電灯で見ることが出来る部分程度のものではないか。)なので、ボクが「現場(その実際に働く部位)自身に考えさせる」と云うのは、脳の範疇を超えた思惟を召喚することに繋がっている。それは脳の「想定外」の事態を引き起こすことになるが、事態を上手く利用することができれば、より大きな成果を得ることが出来るのである。自分でやっていることなのに、自分の想定外の出来事をやらかして、それを収拾させることで可能性を拡げていく、と云うのがボクの目論見なのであります。もちろん、常にトライ&エラーではありますけれど!

 さて、とは言ってもここで一息いれて、と云うことが出来ないのがズボンズであって、実際にライブ終了後に意味不明なレコーディングを始めたりしていることから分かるように、年末のツアーに向けて計画に(例によって)追い掛けられているのであります。アメリカで録音した新作ではなく、その次の作品作りに着手しております!それを引っ下げての12月のツアーなのである。近日中にスケジュールを公開します。みなさん、引き続き、どうかズボンズをよろしくお願いしますね!
 
by dn_nd | 2011-09-21 06:34
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