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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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ツアーに出る喜び。
 さて、明日からThe Sweet Passionの国内ツアーが始まる。とはいっても、ズボンズの場合は途切れることなくライブをやり続けていて常に「終わりなきツアー」の途中にいるような状態なので、実際はことさら考えたり準備したりすることはないのだけど(冷蔵庫を空にしておかなきゃ、というくらいのものである)、今回のリリースに絡んだSpace Shower Networkスタッフの熱意のこもったプロモーションで沢山の取材を受け、その度に「とうとうツアーも始まりますが・・・?」という言われ方をしてしまうので、こちらとしても「そう言われてみれば、そうだなぁ」と、慌てて責任感を感じ始めてしまったりしているのである。しかしながら、ズボンズというバンドの性格は、よそ行きのパリッとした姿が似合わないほっぺたの赤い子供のようなもので(鼻すらたらしているかもしれない)、出来ればプレッシャーを与えずに伸び伸びと放ったらかしにして貰っている方が一番良いパフォーマンスをするということを分かっているので、「ツアーだ、ツアーだ」と考えないようにしようと、変な方向に力を使ったりしなければならなかったりする。実に世の中と上手くやっていけないものである。それで実際に世渡りが下手なのでいつも「実力はあるのに、評価が低い」などと方々で言われてしまうが、まぁそれはそれでしょうがないことである。かのゲーテもこう言っている。「物事というものは100年という単位で考えるべきである。」
ふむ。

 確かに「現状」というものだけに目がいってしまうと、避け難くその時代の価値観に巻き込まれてしまうことになる。今の世界を考えると、それは経済・エネルギー・倫理・高齢化etc,etcの漠然とした人類への先行き不安といったところか。こんなひでえ世の中でオレっちがどんな良い音楽やったって、しょうがねぇんだよう~、とシニカルになってしまいそうになるが、実際は世の中の方が大きなフィクションというか、人間における感情みたいなもので、ある時期・ある瞬間はこうだったのだけど、次にはすぐ別のものに変わってしまったりするものである。そんな「女心と秋の空」を地でいくような世の中のヴァイブレーションを真に受けてしまっていては、「人間」としての自身のやりたいことをやらずに終わってしまうので、「自己」をしっかり理解し、つかんで離さず、一方で世の中を大きな劇をやっているように眺めるようになれば良い・・・・・が、なかなか簡単ではないですね。あはは。

 さて、ツアーの何より良いところは、常に現場に続けて立てるというところである。ステージが何日も続くので誰もが「大変でしょう?」というが、確かに肉体的に疲弊していく部分もあるのだけど、演奏をし続けるというのは究極の自然再生エネルギーのようなもので、それをやることでチャージされ、学び、翌日はまた何かより良いものにしていこうとなっていくものである。少々極端な意見かもしれないけれど、むしろ肉体的には疲労してる方が、前回のブログで書いたところの「音楽を創造する精霊さん」がやって来やすくなるように思う。そうして「音楽さん」(精霊)は疲れているはずのボクらを使って目一杯ステージで遊びまくり、「じゃあまた明日」と帰っていくのである。残されたボクらには「疲労」がポイントカードのように加算されていくのだが、「音楽さん」と遊ぶのは何よりも大きな喜びが伴うので、ボクらとしても「あぁ明日また」と安請け合いしてしまうのである。

 ここで重要なポイントは、「音楽さん」と遊ぶことそれが「楽しい」からというよりももっと大きなカテゴリーである「大きな喜び」を伴う、という部分である。「喜び」というのは、「快感」やら「癒し」やらそれら全てを凌駕する感覚である。それは自分がものすごく大きなものになっている感覚である。その感覚は自分が自分のままで十全に「良き者」であるということを教えてくれる。自分が小さな人間のままで大きな世界(宇宙といっても良いが)をハグし、世界からもハグし返されていることを実感している瞬間でもある。例えそれが脳科学的に解明され、メカニズムが明らかになったところで、自分が覚える感覚を価値のないものにすることは出来ないであろう。「喜び」というのは、それを書き・口にするだけで、何か特別なエネルギーを起動させてしまうところがある、とボクは思う。

 まぁ、そんなこんなで明日からツアーが始まって、とりあえず現段階で決まっているのは8月にオーストラリア、9・10月がアメリカ/カナダツアーで、終わった時には11月になってしまっている。もう初冬じゃないか、梅雨も終わっていないのに。きっとあれやこれやと起こるに違いない。そして考察に再解釈が加えられ、実践し、また書き換えられ、アップグレードし・・・・と、果てない創作の輪のなかに飛び込むだけである。外傷だけはしないように。あと、ギターを壊さないようにしなきゃ、ですね。

 みなさん、各地で会いましょう~。
by dn_nd | 2012-07-12 09:09
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