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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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Z.N.A.T.2012#8「デ・モインのティーン。」
 年齢層的にも、富裕層的にも高めだったシカゴでのショウから、6時間走った先のアイオワ州Des Moine(デ・モイネと発音する)では一転して夕方5時オープンのティーンネイジャー向けのAll Aged showで、夕方の明るいうちに到着したら共演の未成年のバンドの子達が集ってタバコを吸いながらジュースやフラペチーノを飲んでいた。それでも言われるのは"We're looking forward to see you guys playing"で、子供に言われるのも、おっさん(場合によってはおじいさん)に言われるのも同じである。その辺、英語は人と人との付き合い方もフラットでいられるところがある。(日本語は、その言語の特質上、どうも上下関係を作らざるを得ないところがある。そもそも敬語やら謙譲語やらがややこし過ぎたり面倒臭かったりして(現代の価値観と合わないのであろう)、上手く他人とコミュニケーションが取れなかったりもする。そうかと言って、みんなタメ口で話せば良いかといえば、それはそれですごく居心地が悪いので、どうにもしょうがない。言葉一つ取ってみても、人間の開放性にものすごい影響を与えるものである。例えば、学校の先生や他者と同じレベルの言葉で(それをタメ口と言って良いのかは分からないけれども)会話や、ディスカッションが出来るならば、自分の伝えたい事を臆することなく表現出来るだろうし、結果生まれるものや、育っていく過程での人間形成が変わるであろう。余談ですが。)

 そのティーンエイジャーのバンド(聞くと、可愛い顔して18歳だと言っていた)が何をやるのかと言えば、物凄い手数の多いドラマーとアンプを沢山積んだベースの二人の"kind-of-Lighting Volt"なバンドやギター&ドラムのデュオ、ポストパンクでDCハードコアなグループと、実に頼もしく自由に(フラペチーノを飲みながら)やっている。(その後に出てきたちょっと年配のFoo Fighters的バンドの、その破綻の無さが、すごく年齢差を感じさせたくらいだ。)若い世代が、全体と一緒のようになるでなく、尚且つ突飛なことをやっていても、変な目で見られることなく伸び伸びと自分でいられることは本当に素晴らしいことだ。

 もちろんズボンズはその晩も最高のプレイをやり(今の時点でバンドのポテンシャルは100%近く出せるようになってきている)、興味深いアイオワ初のショウを終えた。終わるのが早すぎて、ホテルに戻ってなかなか寝付けなかったりしたが、正直に言うと、とても疲れている。

 ベッドに入ったのは1時だったか、2時だったか、ボクが目が覚めたのは午前5時半で、例によってガッカリしてしまったが、まぁいつものことである。今晩の街Indianaplisまで、延々と続くトウモロコシ畑を眺めながら7時間のドライブ。到着すると、ヴェニューでは"Happy Hillbilly Show"と名してカントリーのライブをやっていた。インディアナ州へ、ようこそ。こういうのを目の当たりにすると、如何に自分の知らない世界、それも音楽を知るだけでは体感することの出来ない"real"を実感する。あらゆる音楽は、そのディープな生活に伴う歴史を持つ。音楽それだけでも、もちろん楽しい。しかし、その凄みを知るのには、レコードというのはかなり限られた一面でしかないのだ。このリアリティを体験するということが、ボクの感覚を更に細かいものにしていくのだろう。すべては経験である。そして、経験というものは、外に飛び出さなければ出来ないものでも、ある。

 さて、今晩の最初のバンドが始まった。Melody Innは、よくあるアメリカのバーである。どんな状況であっても、ボクらはここから逃げることは出来ない。とにかく、文句も言わず最善のショウをやってしまうことだけである。Good Bless us。
by dn_nd | 2012-09-29 12:19
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