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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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To be Stupid!!(アルコールの効用)
 またも、とんと文章を書かない日々が続いてしまった。気付いてみればもう"The Sweet Passion World Tour"の最終ターンとなる国内ツアーの前日である。ビッグ・アメリカンツアーの旅行記も半端なところで中断してしまったが、その記憶は「砂が指の隙間をこぼれ落ちていくように」サラサラと消えてしまったかのようである。(きっと眠っている間にどこか記憶のファイルに選別され仕舞いこまれているに違いない)いくつかの書きたいこと、書くべきこともあったように思うけれど、あの長いアメリカツアーが終わってからは、こちらの生活に移行していくのに精一杯だったのかも知れない。

 帰国してショウをいくつかやり、感じたこともある。海の向こうでやっているときに比較すると(勿論良く言われることであるが)、日本のお客さんは静かで、リアクションが少なく、モジモジしているように見える。(若しくはあるで無関心か)実際にステージで演奏しているリアルタイムでは、演奏者であるこちらは、「あれ、どうもオレ達の音楽は良く響いてないらしいぞ」といささか心配になってくる。最後までやり終えて、「うーむ、どうも上手くいかなかったなぁ」などと考えていると、後でお客さんに「とても良かったですよ」とか「感動しました」とか言われたり、つぶやかれているのを見たりする。正直(ボク、この言い方嫌いなんですけれども)「おいおいその場でもうちっとそれが分かるような態度を取ってくだされよ」と思ったりもする。しかしこれと同じような状況が海外で無い訳ではない。それは日曜日の午後の時間帯でお酒を飲めない子供達(under 20years)を対象にしてやるall aged showの場合である。普段ボクらがやるようなクラブやパブは、もちろんお酒をセッセと出す場であり、その売り上げがこちらのギャランティにもなるし、飲むことでクレイジーな人も出てきたり、とアルコールが楽しみを上乗せしてくれていくのであるが、その楽しみを知らない子供達は、やはりステージ前で突っ立ってボクらのやっていることを見ていて、周囲の目を伺いながらどう反応していいのかモジモジしている、という風情なのである。そこでボクは「そうか我々日本人にはアルコールが足りないのであるな」と早合点して、とにかくお客がちょっとでも酔っ払って、リラックスしてくれるような状況でも出来れば、音楽の楽しみ方も随分違ったものになってきくのだけどな、と考えたりもした。しかし、居酒屋ではあれだけワイワイする日本人も、ライブハウスではさほどお酒など飲まず(もう1ドリンク代「払わされている」のだけでも沢山だと)、結果としてライブハウスが居酒屋ほどに毎日「ワイワイする場所」になっていないものである。

 実際これはとても根深い問題であって、演奏する側にとってもお客が盛り上がっていないことは切実なダメージを与えるし、そんな彼らを見ている側もなんとなく意気消沈してくるしで、どうにもまずいループに陥ってしまっている。日本人はとにかくどのような場であれ社会の求める「礼儀正しさ」に従うことを幼い頃からゴシゴシと刷り込まれているので、なかなか楽しさをその場で一人ででも表現するということが出来ない。そうすることが、どういう訳か恥ずかしさを伴うような気がするからだ。良く分かる。居酒屋ではバカな人を沢山見るが、それは周りの知っている人も知らない人もとりあえず酔っ払おうとしているし、酔いもある一線を越えると、周りなどどうでも良くなってきたりもするものだ。そんな「バカさ」が音楽、少なくともRock'n Rollと言われているものには必要なものなのであるが。バカになろう、とは言わないまでも、リラックスしてニッコリと楽しめる、というだけでも雰囲気は随分違うのではないかな。

 などと考えたりしながら、先日カナダから来た友人のライブを見にいったのだが、その時に「どうも我々日本人は、夜のお出かけや催しごとというものへの嗜みというもの、その嗜好性が他の国の人とは違うのかも知れないぞ」とも感じた。何しろ自分自身がそうなのだが、ともかく夜はウチでゆっくりしていたいのである。欧米人のように、夜は夜で仲間と会って一杯やりながらどうでも良いことを語らうという過ごし方をしない国民なのである。それは大晦日(一年の夜と言っても良い)に欧米人はカウントダウンやら派手に騒ぐのを好むのに対して、日本人は除夜の鐘をゴーンと聞いていたい気持ちと同じみたいなものであろう。良し悪しの問題ではなく単なる性質の違いなので、どうとすることも出来ないのであるが、音楽は、特にRock'n Rollは本質的に夜に開花するものなので、これまたウウムと唸るしかない。さて、ここの突破口はあるのでしょうかね。

 なので結局音楽は、夜もオッケー的な若者が中心となって楽しむものとなってしまっているのだろう。どうもズボンズを見に来る人も、ずっと同じ顔というのではなくてほとんど知らない若者がメジャーである。どうもずっと現場にいるとこういうことになってしまうみたいである。オーディエンスが新陳代謝することはとても良いことではあるけれど、ずっと好きでいてくれた人が出てこなくなってしまうというのも、彩り的に寂しいように思う。何といっても、幅広い世代の人間が出揃って入り混じって、やんややんやとやってくれるのが一番望ましくもあり、その場の空気を豊かにし、もちろん音楽も味わいが増すというものであろうが。しかしまぁ、確かに夜はウチでゆっくりしていたいものではありますけれど。むむむ。

 ともかくともかく、自分中心で物を言わせてもらえるならば、せっかくツアーとして回るのだから、一晩だけでも一夜の「ウチでゆっくりと」を解除していただいて、ズボンズを見に夜へ繰り出してくれると幸いである。そうして、年の若いのもそうでもないのも軽く一杯なんかやってリラックスしてステージを楽しんでくれると、とても嬉しい。さらに終演後も遠慮なく声をかけてくれると、更なるやる気に繋がるですよ。ズボンズは、ともかく言われなくとも全力投球でガンバリマス!!各地で、会いましょうね。

DON

PS, そうそう、またしてもボクの急な思いつきで、このツアーの為に新しいズボンズのepを作ったのでした。新しいツアーには、新しい音源を。ボクらの考えることは、実にシンプルなのであります。今回は次なるステップに行く前の確認作業的なもので、アメリカ・カナダ・オーストラリアでズボンズが位置しているGarage Rockシーンから受けた影響を、手っ取り早くカヴァー曲でまとめ上げました。Bo Diddley、Chack Berry、The Velvet Underground、Themの曲、それに半分オリジナルのもの、が入っています。録音してパッケージングまで全部手作業でやって、6日で仕上げました。100枚限定でナンバリングしておりますので、お見逃し無く。どうしても予約したいという人は donuts@thezoobombs.com までメールくだされ。会場で受け取れない人は、ツアー終わってから発送します。これについての詳細は、次のブログにて。ではではボクは作業の続きへと・・・・・。
by dn_nd | 2012-12-06 10:51
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