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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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Autumn tour'14 vol.13 live@福岡薬院ユーテロ
福岡にて九州最終日。
前日までの疲れが出たのか、夜12時前に寝たのに起きたら午前9時だった。ボクのツアー中の睡眠はひどく少なくて、大抵は毎日4から5時間しか眠れない。時には3時間で目が覚めてしまうこともあって、そんな朝は朦朧としながら本を読んだり(今はヘミングウェイの短編集)、解けない数独をやったりしている。朝は食べない。なので9時間も寝れると気分爽快かというと案外そうでもなく、休みに慣れた会社員が更に休日を要求するように、身体はあちこちの不調を露わにする。首が腰が肩が膝が組合を組んでストを起こす。こんなんじゃやってらんないすよ社長。本日の不安要素その1である。

会場に到着してケースから取り出して初めてギターが弾けない状態にあることに気づいた。2弦を巻きつける部品が役に立たなくなってしまっている。うむ、確かにここのところ結構ハードに使ってきたものなぁ、と思うが2弦が無ければさすがのボクも演奏に支障がある(ショウの最中ならば、多分やり切ってしまうだろうが)。不安要素その2。
サウンドチェックにて。今日は初めて顔合わせするメンバーである。音を出し始めた瞬間、爆音になりすぎている。全体の音像調和に気がつかないで「自分の音」を大きく出そうとすると、こうなる。(不安要素その3) 更に、ボクの方を見ないでプレイしている。ボクは何時も書いているように、その時に現れる音楽に反応して演奏し、その中で皆の役割を与えるので、プレイヤーがこっちに注意を払っていとそれを伝えることが出来ない。(不安要素その4) まいったな、と思いながらも、メンバーに上手くそのことを伝え、理解してもらいつつプレイヤーの良い部分は残しておかなければならない。ボクという立場は、あまり注意が強過ぎるとメンバーの萎縮に繋がって、今度は相手がすべてこちらの顔を伺いながらのプレイなってしまって、それは一番困ったライブになってしまうことになる。やはりプレイヤーには音楽という大きなスペースの中で伸び伸びと自分の演奏してもらうことが一番良い。

ところが不安要素が多かったせいか(せいだ)、どこかイライラしていたボクはコードを覚えていなかったベースの子(サラサラ)をつい怒鳴ってしまった。怒る、という行為はエネルギーが強すぎるので、その使い方は特に気をつけなければならないものである、と最近は考えている(遅いのか)。なにもいつも楽しく仲良くやれと言う訳ではないけれど、その怒りの遠因が何処にあるのかによって、相手に与える影響も違ってくるように思う。今日のように不安要素をいくつか抱えていたり、睡眠不足や体調がどこか優れない状態の場合、実際の事件はトリガーに過ぎず、実はただ自分の不安感や苛立ちの感情噴出のはけ口を求めていたに過ぎない。しかし必要以上のエネルギーで怒られた人間は傷と不信感を持ってしまい、それを回復するのはなかなか大変なことなのである。自分という人間の扱いの難しさよ。サラサラ、悪かった。

と、まぁ色々あったのだが、その一つ一つを解消し(身体は動かすことで、ギターは新しいのを買って、メンバーには具体的に指示と意図を身振り付きで話し、サラサラにはドーナッツを勧めたりして)、本番は神様に託して、何があってもここで踏ん張ってやるしかないのだ、という気持ちで演奏する。良かった部分もあるし、どうも上手く乗れなかった部分もあるが、これがボクのやっていることである、結局は。みんな、どうもありがとう。こういうディープなコミュニケーションは間違いなく次に成果を結ぶことになる。またやろう。



# by dn_nd | 2014-11-20 10:52 | Tour日記

Autumn tour'14 vol.12 day off@諫早
オフの日。諫早に住んでいる叔父に会いに。ちょっとお土産でもと思って見ている間に電車(ディーゼル機関車)は出てしまい、1時間ほど待つハメに。駅待ち合いベンチで寒さに耐えながら数独をやる。そして、来た電車(ディーゼル機関車)に乗ったら今度は線路近くの民家が火災になったのでこの電車(ディーゼル機関車)はここまでしか行きませんと、川棚という辺鄙な駅で降ろされる。同乗のおばさん・おじさん達は怒っている。こんな辺鄙なとこで降ろされた上に、連絡バスも無し、しかも切符返金すると言いながらもしっかり川棚までの料金は徴収するという。普段ならば断固抗議だが、ノドが荒れていて声を出すのが面倒だったので、大人しく川棚の寒い待ち合いベンチに腰かけて数独をやる。叔父が諫早から迎えに来てくれた。ロックミュージシャンの一日。数独は完了。

長崎まで帰りたかった。こんな近くまで来てるのに。

# by dn_nd | 2014-11-19 07:37 | Tour日記

Autumn tour'14 vol.11 live@佐世保ダズルパズル &諫早 裸蛇(ラジャ)
佐賀での終演後 、folk enough井上くん&いつもfe周辺にいる謎の男ミッキーが、明日長崎・諫早でミッキーフェスなるイベントをやるというので、なんでおれを誘わないのだと尋くと、いやーもうドンさんだったらいつでも大歓迎ですよ何だったらオープン一番の場所を空けますから是非やってくださいよー、というので、オーケーオーケーもちろんやるよ、12時に行けば良いんだね?と安請け合いしてしまった為に、辺鄙な諫早駅に11:30に着く特急で向かったのでありました。何もやるプランは無く、井上くんとギター二本でインスピレーションの赴くままに演奏。会場はオカマのマスター(ママ?)のやるバー、だがPAの子もボクのことを分かっていて上手いことミックスしてくれるし、観客も(ほとんどバンドマン)もしっかり聴いてくれているしで、サイケブルーズな意外に面白いライブだった。最後までいたい気分でもあったけれど、今日のボクの本番は佐世保なのだと、急いで(辺鄙な)諫早駅からディーゼル機関車に乗って佐世保へ。

チョチョッとやった、とはいえ、演奏するにはそれなりに集中力を(物理的に)使うので、佐世保に着いた頃にはややボロ雑巾のようになっていたのだが、今晩の相手は佐世保のキングオブロック、ハウリングセッタである。気が抜けないなぁ、セッタも新しい編成となってすごくカッコ良くなっているしなぁ、ということで、セッタのメンバーを次々に我がグループにハンティングし、人海戦術をとることに。最終的にドラム、ベース、ジャンベにトリプルギターとマイルス・デイヴィス的なファンクバンドでやることに。主催でバックをやってくれたbento bandの曲"orange"を挟んで(爽やかな曲なんだ、これが。ボクはキース・リチャーズ的ギターをスパイス的に)、さらにアンコールでは敵の大将・伊達さんをも仲間に加え、セッタの名曲「バッハからサン・ラまで」をカオスファンクロックに演奏した。この時点でボクは無敵、というか皆仲間なので敵がいない、という状態でライブ終了。全員でゴールに倒れこむ、何かテレビで見たことある何人何脚みたいな感じでありました。ハウリングセッタ、素晴らしい。来ていたアメリカ兵達も踊りまくっていて("oh,shit!!you guys fuckin' rock, man!!")、日本の(佐世保のか)ロックの突き抜けを実感したことでしょう。おれも“ジャパンクール”に貢献したかもしれないな。はは。

打ち上げにて、ジャックダニエルズが登場して狂乱に火を注ぐハメになって、グラグラになってしまった。まだ高校生だという女の子まで来ていて、曲を作っているのだという。どんどん作りたまえ。17才には17才にしか作れない音楽がある。とにかく、常に「これはウソではないか、誰かのフンドシで相撲を取っているのではないか?」と自問自答することを止めないように、とアドヴァイスする。

ハウリングセッタの伊達さんは50も超えていて、ボクの先輩でもある。バンドに加入してくれたギターのオオツボさんも先輩で(なんとヤマウチ・テツとバンドやってたとか!)、年はちょ下のfolk enough井上くんもそうだが、地元で音楽を「ただ」やり続けている先達である。音楽が好きだとは言っても、本当に長くやり続けるのは簡単なことではない。それは、自分に対する執着である。誰もがそんなに長く自分に執着し続けることは難しい。それは孤独な戦いだからだ。それをくぐり抜け、今も戦い続けている人間がここにいる。彼らの音楽を聴いてみると良い。誰でも人間の凄みを少しは感じれるだろう。おれもがんばらなきゃな。

# by dn_nd | 2014-11-18 20:25 | Tour日記

Autumn tour'14 vol.10 live@佐賀Geil
鹿児島から佐賀へ早朝からバス移動。福岡・基山のパーキングエリアで乗り換えするのだけど、高速道路の上り線から下り線へ秘密のトンネルのようなものを通って移動しなければならない。抜けて坂を登ったところにバス停留所があって、そこは高速道路脇に打ち捨てられたような場所である。荷物を背負って一人そこにいる時、旅の寂寥感を感じる。しかし自由でもある。

猛烈な寝不足なままリハーサル。メンバーは何度かやった仲間達なので、今のボクが志向している(させられている)ヴァイブレーションを共有してもらうだけで良い。とはいえそれは言葉だけで伝えられるものではないので、結局目一杯身体を使って(つまりリハーサルを本番のライブのように演奏することで)伝えることになる。ある意味では毎日2ショウやるようなものであるが、少しの油断も手抜きも命取りになる。疲れてくるとこの集中が弱くなるかというと、必ずしもそうではない。気分の乗りが確信を持っている場合には、疲れたからは一種の瞑想フィールドに導きやすい状態にあると言える。集中が弱まるのはむしろ、不安感や焦り、怒り、諦めなどを(気分の乗りが)持っている時である。それらネガティブな種は小さくともいずれ発芽してしまうので、優れた農夫のように見つけては排除しという作業を怠らないようにしなければならない。

本番は(良くあることだが)メンバーに伝えてあった1曲目と違う曲でスタートし、ドラマーの暴走と共に「どうせもう目茶苦茶なんだから、徹底的にやってしまえ」とかなりワイルドなショウとなった。ボクもズボンズ以来久しぶりに大暴れした気分である。珍しくMo' Funkyをやらずに終了。みなさんお疲れ様でした。

彼らほとんどが大学生で、学校に通っている限り一種の「守られ」の状態にあるが、いずれそこから出ていかねばならない。そうなった時に音楽をやめてしまうという人間も沢山いる。しかし一度本気でやり始めたものをやめることは難しいことであろう。音楽を作り演奏するという行為ほどエモーショナルな自己表現は少ない。そこに一度首を突っ込んでしまうと、開放された自分を初めて感じることになる。それは大きな喜びであるがために、若者達は悩む。しかしいずれ自分自身で行く道を見つける。または、流れに身を任せていくウチに自然と自分の道が出来ている場合もある。思うに、良い人間であり続けようとすれば良いのではないかと思う。

folk enoughのライブが素晴らしく、彼らのやってきたことを考える。ただ好きだからやり続けてきたのだと彼らは言う。その結果の好サンプルの一つであろう。ボクは彼らのファンである。

# by dn_nd | 2014-11-17 10:49 | Tour日記

Autumn tour'14 vol.9 live@鹿児島SRホール
地方に来て良いなと思うのは、東京みたいな都会に比べてミュージシャンの縦の繋がりが強くあるように感じることだ。意識していようがいまいが、地元という大きな基盤を自身の中に確保出来ることでよりリラックスした人間関係を築いていけるのだろう。都会は刺激も多く、トンガっているものを求める。そこでは避け難く競争が生じてしまうが、それを真に受け続けていると、どうしても疲弊してしまう。かと言って、そこから遠ざかると、どこかニヒリズムを帯びてしまい「おれはおれ、あんたはあんた」という孤立したものになってしまう。音楽をやり続けれる理由はそれぞれだとは思うけれど、長くやるにはそこに先人がいてくれるととても楽だろうと思う。そのような繋がりを直接持てることは、若い世代にとって、小さくない励ましになるのではないか。

昨晩一緒だったのはボクらと水中ブランコ、そして高校生からなるオリジナルバンドであった。ボクのバックは(主に)水中の先輩達がやり、水中は20代(ギリギリ)のバンド、そして17、8の高校生。このような繋がりが自然な雰囲気の中で出来ていることが、良きミュージシャンを生み出す土壌となるだろうし、なにより続けることへの不安や恐怖が軽減されるに違いない。とても良いことだ。

さて、その指針となるべきおっさん達のライブだが、演奏中のベースアンプのトラブルで後半多少ガタガタしてしまった。作戦は切り抜けたものの、鬼軍曹は傷を負ってしまったとでも言おうか。ライブ演奏に於いてトラブルは付き物なので、出来るだけ仲良くやるのが最良の切り抜け方である。しかしそう出来るようになるには、やはり相当な鍛錬が必要なのだ、軍曹よ。ともかく、ライブいうのは文字通り「生きている」ものなのだから、時に手に負えない時もあるもんだ。とりあえず、おれ達は勝負を最後まで投げなかった、これを良しとしよう。次の作戦では、もっと上手くやるのだ。試練無しに、人間の成長は無い。オーヴァー。

# by dn_nd | 2014-11-15 23:50 | Tour日記
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