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DirtyなPresent。
  ズボンズの新しい作品が完成した。前回のリリース"On The Jungle"から二年半は経っていると思うが、ボク個人としてはその間にソロアルバムを二枚作っているので、何かを作り続けているという感覚が途絶えることはなかったけれど、いざ着手してみるとやはり「ズボンズ」としての新しい曲を仕上げるというのは、いささかハードルが高かった。ひとまず完成したことを喜びたい。

  何でも自分の思うがままに好きにやって構わないソロと、やり続けているバンドとしての作品はかなり違う。まず自らに課す「基準」を超えることが出来るのかという問題がある。長年(20年以上だ)積み重ねてきた上に、これまでのものと違う新しいサウンドなり視点なり方向性を持ち込めるのかどうか(期待されていない期待を、自分で作っているのです)、そしてルーツである偉大なアーティスト達に対して胸を張っていられる音楽なのかどうか(ルーツを維持しつつ新しいものに挑戦していくことがボクのミュージシャンとしての意義であるから)。更に、大きな声で言いたくは無いのだが、やはり年齢を重ねたことから来る集中力の低下や一種の退廃のようなものが、ある。人は経験を積めば積むほど若い頃のように無邪気に突っ走ったり、色々なことに素直に感動出来なくなってしまう。大人は汚い、ということでもなく、ただ色々な経験をして以前より多くの視点を持ってしまっているからだ。しかし瞬発力を失くしてしまった今は、自らの中に蓄積されたものから文字通り「滲み出て来る」ものをひたすら待つしかない(しかしこれがまた、自分の中に芳醇なアイデアが無い、という事実を自覚させられて失望するだけだったりするのです)。更に更に、すでにズボンズは10枚以上の作品をリリースしていて、それらの中には「まぁまぁ」「結構いい」から「とてもいい」まで沢山のストックがあるので、それらを再生産することなく新しいものを作るぞというモチベーションがそれほど高く保てない、とか。あとは個人的に人生というものを考えると、こんなことをいつまでやってても.........などなどキリがない。いや参るな。

  しかし、それら悪条件を乗り越えて敢えて新作に着手するのは、挑戦をしたいが為である。努力をしなければならない状況に追い込むことによって、怠惰になっている自分を稼働させ続け、まだ何かしら新しいものを産み出すことが出来るのだと実感していたいのである。作り続けることが自分にとって最も必要なことでもあり、その行為自体が人生の責任を果たす唯一のことだと信じているからなのである(無根拠に、人類の役に立つことをやっているのだ、とも考えている)。そこには「嫌ならやる気が出てくるまでやらないでおけばいいじゃないか」という選択肢は最初から存在しないことにしている。また、ただひたすら自分のペースでやればいい、という意見も不可。今は力づくででも、無理矢理ででも自分から絞り、悪あがきしてジタバタすることによってでしか何かは作り出せないのだ。しかし、書くのは易し、実行は難しでありますな。

  ともあれ、完成した。いやはや実にツアー開始の二週間前である。ここまで書いて、どれだけ大したものが出来上がったのかは、自分ではよく分からない。5トラックの内、"Dirty Friends"は最初はゲーテの"ファウスト”からモチーフを頂いたのだが、昨今の政府や人々の不穏なムーブメントの影響下にあるようだ。"Ducking"は不可思議なインストゥルメンタル。Beatlesの"Flying"みたいなものか。瞑想的な曲である。"Present"は、春のカナダツアー中のレコーディングした詞曲共にマッタの作品。夢の光景を歌っている世界が、マッタそのものである。実はこれが再起動ズボンズ最初のレコーディング作品となった(ツアー中にカナダで録音)。残る2トラックはライブ4曲を編集したもの。聴くと、我ながらすんごいライブバンドですな、ズボンズは。

  ということで、ズボンズ2015年、滑り込むように足跡を残すことが出来ました。何しろ御託もブレもやたらと多い男ドン・マツオをリーダーにしていてバンドも大変であろう。年々ややこしい人間になっていってることを自覚はしているのですがね。それら全てを注ぎ込んだズボンズの新作。更にブッカビリー復帰後、初の作品でもある。皆さんの楽しみに一助出来れば幸いであります。それでは、ツアーで会いましょう。







# by dn_nd | 2015-11-17 18:26 | music

致命傷を負った生き物、その回復。
今回のツアーフライヤー用のエッセイ原文です。

’13年ムーストップの脱退は、バンドにとって致命的な損失だった。ムー不在のポッカリと空いた巨大な穴によって、ズボンズという生き物は動くことが出来なくなってしまった。その穴を治癒する事は勿論、怖くて覗き込むことすら出来なかったボクは、バンドの活動を諦めようと決心した。もう20年もやってきたのだし、これで十分じゃないか、年を重ねてこれから先良くなる保証も無いのだし、と心を欺くことでバランスを取るしか出来なかったのである。

  しかし心の奥深くでは、ズボンズこそが自分のやるべき活動で、それを通してで無ければ今後「何か」を成し遂げることは出来ないのは分かってもいたのである。だから、どうにかして息を吹き返してやろうと、ソロ活動を通して数多くのミュージシャンと交わり、色々な再生の試みと仮想シュミレーションをやり続けていたのだ。"あいつ"を回復させることは出来るのか、その先まで行くことが出来るのか、ボクにとってそれは本当に切実な希望だったのだが、簡単に叶う事では無いように思っていた。

  昨年の春、ボブ・ディランが東京にやってきた。公演初日、たまたま手に入れたチケットを持って、マッタと入場の列に並んでいると、ヤァヤァと男が声をかけてくる。振り返ると、驚いたことに15年間音信不通だったブッカビリーである。BBはバンドのオリジナルメンバーで、初期の数々の代表曲をゼロから共に作ってきた人間である。その頃のボクらはひどく若く、お互いの存在に我慢出来なくなる程やり合い、結果彼はバンドを離れることになった。(どちらかと言うと伏せておきたい青く苦い思い出である)だからその時ボクが何気なく冗談で「またバンドに戻って来るかい?」と尋ねたのも社交辞令以上の考えはなかったし、当然、彼も本気だと受け取らずただ笑うばかりであった。OK、まぁ今度時間のあるときに飲みにでも行こうよ。云々。しかし、バンドを巡る運命は不思議である。2015年、ブッカビリーはバンドのドラムの椅子に戻り、結果深い穴と傷を埋め、ズボンズを回復させることになった。いやはや、ボクにはとても信じられない事だ。(きっとムーストップも)

  更に予測不能なことに、若き女性ベースプレイヤー(ズボンズに別の女性メンバーがもう一人?しかもムーの後釜に?)マッチが加わり、春には2週間のカナダツアーを良い形で成功させることが出来た。ここに来て、ボクはようやくズボンズが完全に息を吹き返したことを理解した。良かった。とても嬉しい。神様どうもありがとう。ならば、我々の不在期間に一目盛りだけ下がっていた世界の"ロック指数"を元に修復しなければ。そして出来得るならば、これから更にもう二目盛りくらい上げようではないか。その為に、ズボンズはあるのだろう。isn't it?

  どうか祝福して欲しい。

ドン・マツオ













# by dn_nd | 2015-06-21 00:26 | music

それは未来の話である。Zoobomb Re-Boot Canada Tour#10(最終日)
トロント二日目にして、ツアーの最終日。

大抵ツアー中は、移動し、演奏して、寝てまた移動というスケジュールが組まれているので、なかなか街を見たり、買い物したりすることもないのだけれど、こうして同じ街に二日もいる場合には時間もあるので、皆んなで街に出かけることに。
ボクとマッタちゃんは公園にてお昼を食べつつ、今回のツアーが上手くいってまたズボンズが新しいステップを踏み出せる事を喜んだ。ブッカビリーが戻ってきてくれて良かったこと、マッチが思っていたよりもバンドに馴染んでいけそうだということ、何よりボクにしてみればマッタちゃんがずっと一緒にやって来てくれたからこそのズボンズであると思っている。始めた頃にはとてもこんなに長くやるとは思いもしなかったし、今も尚チャレンジする動機を与えてくれる音楽であることを、感謝しなければならないだろう。何と言っても、この活動全体が人生をとても意義深いものにしているのは確かである。まぁ、これからも紆余曲折はあるでしょうけども、ね。

サウンドチェックにて新しい曲を試す。帰国したらすぐに音源制作に着手したいと考えている。今のところは、ボク自身にもっとインスピレーションが必要なようだ。ともあれ、今晩がツアーの最終日であり、ここはズボンズに対する期待も一番大きな場所でもある。それに応え、更に上回る演奏を残していく必要がある。セットのテーマも前日とは違うコンセプトで、尚且つストーリーが前日からの流れを汲んで完結するように........などとブツブツ考えているうちに車の道を間違えてしまった。今晩もアルコールは抜き。

マッチにベースを部屋まで持って帰るように指示しておく。彼女はもっともっと練習が必要である。ズボンズの場合は曲を演奏する上で決まったことをやるのではなく、常に新たな挑戦が求められる。まだまだ気を抜いてはいかんよ、ルーキー。

会場に戻ったところで、着替えを忘れてきたことに気づいた。カメラマン・タカと二人で部屋に一旦戻る途中でEl'Mocambo clubの前を通ったので、せっかくだからそこで写真を撮ってもらうことにする。1998年ズボンズ最初の北米ツアーの中で、もっとも思い出深い会場だった。ここでDan Burkeとも出会い、今のズボンズのカナダでのポジションが時間をかけて作られて来た。残念ながら昨年クラブは経営者が売却を決め、今では窓に板が打ち付けられ、ネオンサインも消えてしまっているが、形はそのままだ。何故かブッカビリーが通りかかったので、一緒に撮影する。彼もその時に共にいたのだ。

ライブはすごく良いものだった。終演後、とても多くの人がボクと話したがって来たのだけど、全部振り絞った後ではなかなか英語の呂律も回らなくて訳が分からなかったのではないか。ここトロントでもお客さんの層が新しくなって来ている。(どうもボクらは固定ファンと共に年を重ねていくという形には収まらないらしい。これが良いことなのか、商売的に良くないことなのかは分からない) 出来ればまた帰って来れたら良いが、それは未来の話である。God only knows。

部屋に戻り荷物をパッキングして2時間寝た後に飛行場へ向かう。(なんと帰国したその日にブッカビリーの別バンド・Dachamboのレコ発ライブがあるので、彼は成田に着いたその足で会場まで行き、リハ無しでライブをやらなければならないのであった。無理なスケジュールをお願いして、すまん!) ボクも帰りの13時間のフライトの間、ほとんど寝ないで映画を4本も観た(James Brownの伝記映画を観て、自分のアクションの原点がそこにあるのを思い出した)。帰ってから考えたい事が沢山ある。このツアーですっかり自分自身を取り戻せたのは、一番の収穫である。(アルコールも控えて) もう若くもないし、何もかも出来るとは思わない。とは言え、何かを切り捨てるでなく、全てを包括した上で「諦め」の無い理想の未来へと邁進することが目標である。今はまだスタートを切ったばかりで具体的なヴィジョンは見えていないけれど、それがあることは確かだ。理想、これこそが失ってはならないものである。目を背けてはいけない。

ボクには、理想がある。
# by dn_nd | 2015-05-08 08:18 | Tour日記

これまでは楽な方向に傾いていた。Zoobombs Re-Boot Canada Tour#9
Canadian Music Week、トロントでの初日。

とても豪華とは言えないホテルのベッドに入ったのは午前5時頃だったか。数時間後には目が覚めて、皆で揃ってCanadian Music Week(CMW)の受付へとシェラトン・ホテルへ向かう(こちらはとても豪華なホテル)。ツアーをやっていたので考えもしていなかったのだが、CMWは3週間に渡る大きなイヴェントで、The Jesus and Mary Chain(Psychochandy liveをやるとか)やNoel Gallagerなんかがやったりするそうだ。ズボンズは懐かしのEl'Mocambo clubからほど近いSilver Dollarにて二日間のヘッドライナーショウである。シェラトンにて我々のボス、Dan Burkeと待ち合わせる。彼は3年前に来た時にはまだ紙ポスターを街に貼りまくったりしてプロモーションしていたが、今ではスマートフォンまで持っていて(当たり前だが、彼にとっては当たり前ではない。そういう人なのである)
、SNSを使ってプロモーションするのだと噴水の前でピンボケの写真を撮ったりしていた。OK、DON次はサウンドチェックの時にまた写真撮ろう。我々はチャイナタウンへ昼食に。

Silver Dollarはすっかり馴染みのハコである。サウンドマンのVladもセキュリティーのスタッフも顔馴染みで「やぁやぁズボンズ、よく帰ってきたな」という調子で嬉しいものだけれど、一方では前よりも良くなっていることを示し「やはりズボンズは凄いな」という印象を残したいという点で、ハードルは高い。そんなこちらの気合いが強すぎて(というかボクだけか)、アンプの場所決めに時間を食ってしまった。ひとまず退散。

「あの伝説の(Legendary)Zoobombsとやれて、とてもエキサイトしている」などと前のバンドがMCで言っていたので、「伝説のバンドにお帰り」とブッカビリーに声をかける。マッチは23歳にて伝説入りか。うむ。
実はこれまでずっとアルコールが入った状態でライブをやっていたのだが、今晩から止めることにした。無い方が良い気がしたからである。久しぶりに(おそらく3~4年振りか)に素面でステージに上がるので、若干ナーヴァスになってしたのだが、このツアーを経て理解したことは、「ズボンズ」という乗り物をしっかりとハンドリングするには、とことん音楽に入り込む一方で、冷静で正確な判断が必要なのだということである。そのためには、身体を良い状態に保っていなければならず、アルコールはその弊害になっていて、一時的な緊張の緩和を求めるか、長い目で見た身体の調子の保持を取るかというところで、これまでは楽な方向に傾いていたことは否めない(人は、弱い)。しかしもう終わりである。「ズボンズ」が俄然調子を取り戻して来た今、どちらを選択するかというのは選択ですらない、実際は。ボクに必要なのはアルコールを入れて楽しい気分になることではなくストレッチである。エイッ、エイッ。

トロント初日はアヴェレージといったところか。満員の会場は大いに盛り上がっていたし、多くの人が「今回のラインアップが今までで一番良い」とか言ってくれていたが、今のところは「全て出しました」という程度のレベルである。本当に良い時には全て出した上で。「更に奥の引き出し」に隠れているものまで表に引っぱり出すことになる。OK、今晩はこれで良し。明日はもう一レベル上を目指そう。ということで就寝は午前3時半。寝る前もアルコール抜き。
# by dn_nd | 2015-05-06 19:06 | Tour日記

もっとチャレンジが必要となってきている。Zoobombs Re-Boot Canada Tour#8
London,ONからHmailtonへ。

今週に入ってからは天気も良く、ここまで来たのだからということで、ナイアガラの滝へ。シンプルに壮大で素晴らしい。やはりこういうものは写真や映像を幾ら見ても分からないものなので、見ておかなければ。そして、Daily Queenのソフトクリームカップのピーナッツバターかけ。これも食べなければその凄さは分からないので、食べておきました。

HamiltonではMacMaster Universityのカレッジラジオステーションに出演。DJのJamieがズボンズファンなので、この近辺で我々は結構人気である。(アルバムがカレッジチャートの#1になることも) 自分で考えていたよりもバンドは上手くいっていて、これからの可能性に期待出来そうだというような事を話す。また、こちらでも昔からのズボンズのファンはブッカビリーの復活を大いに楽しみにしているようである。そして新ズボンズ・隠し球のマッチは海外でラジオデビューとなりました。

とは言え、ライブでは思ったように事が運ばず、少しばかり集中を欠いた演奏になってしまった。これはボクの責任である。バンドとしても演奏が出来上がってきつつあったので、もっとチャレンジが必要になってきているのだ。安定の上にドッカと座っていると、本物のエネルギーが発揮されないものである。いつでも緊急事態!というのがズボンズなのですね。いやはや。もっと自分に鞭を入れなければ。

ライブ終了後にその足でトロントに移動。就寝は午前5時。ツアーも残すところトロント2daysだけになってしまった。このやり残し感を持ったまま帰る訳には、いかんぞ。
# by dn_nd | 2015-05-05 08:54 | Tour日記
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