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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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OZ Tour2012 #3「国を離れて。」
 初日から2連ショウというのはさすがにきつかったのか、昨日は一日中ウチにいて、おじいさんのようにウトウトしていた。ツアーのピークが初日に用意されていたようなもので、身体の準備が整っていなかったのだろう。しかし、このような自分のコントロール下にない状況でやり、戸惑いつつも最終的には自分をそれに合わせてしまって「慣れる」と「コントロール出来ている」の中間地点に着地することになるのだろう。人間、自分に合わない状況であっても、それに「流れ」にどうにか対応して、ある心地よいポイントを(程度の差はあったとしても)見つけることが出来る。決して流されっ放しになったり、抵抗したり、いつもの自分のやり方だけをやろうとしては、いけない。

 やはりこちらが日本人であるから、様々な「日本人関係者」がショウに顔を見せる。マッハ・ペリカン(残念ながら解散してしまったが、オーストラリアで長らく活動していた日本人3人組のパンクバンド)のメンバー、ワーキングホリデーでこちらで働いている学生、日本人の彼女を持つオーストラリア人(そう言えば、逆のパターンは少ないような気がする)、日本語を勉強していて、どうしてもそれを使いたい人etc、etc。ワーキングホリデーでこちらに来て、すっかり気に入ってしまい、永住権を獲得したいと思う人間は多いようだ。それでもさすがに国籍までも移すことには抵抗があるようで、永住を決めていても日本人のままでいたい、というのは立っている足元が心もとなくなってしまうということなのだろう。実際は、その国の国民であって、国の様々なシステムを利用し、守られているのであれば、今いる国の発展に力を貸すというのが筋なのだとは思うが、心情としての「祖国」への愛着というものは消し去ることは出来ない。(それが例え問題が多い国だったとしても、おそらく。)国を離れる、というのは大きな孤独であろうと思う。それでも、一方では国に執着する人間がいて、ある人間は新天地にて自分の新しい将来を見る。ある部分はそのままで、ある部分は混ざっていく。それは人の意思が世界を変えていっているということであろう。最終的には国境も何もない世界がやってくる、という風にはボクには想像出来ないけれど、今の世界がこのまま永遠に続くとは、全然断言出来ない。どうなるのでしょうね。

 ところで、ライブはSt. Kildaというちょっとハイソな場所にあるハイソなクラブ、Espyにて。6年前にやったときはすごく盛り上がった記憶があるが、もちろん6年前とはバンドも音楽もまるで違う。Espyというのはけっこう派手なステージで、派手で能天気なお客さんがそれを見ながらビールを飲んで勝手に騒いで盛り上がる、という場所である。あまり「音楽さん」の好むところではないかもしれない。ステージに用意されていたのは最新鋭のピカピカの機材で、まるでどこかのハードロックをやるバンドのような音がする。照明はやたらと明るくて・・・・この辺でやめておこう。とにかく、ボクは上手くそこに自分を合わせることが出来なくて、ショウの終盤にはすっかりエネルギーが遠のいてしまったような気分になってしまっていた。お客は割に盛り上がっていたのだけれど、「音楽さん」のやることは不可思議なものである。ボクにはどうにかそのエネルギーがゼロになる前にバンドを着地させることしか出来なかった。いやまいった。とりあえず、お客さんは満足してくれたようなので、それで心を暖かくして、明日またがんばろう。

 ウチに戻ってきたのは午前3時。ビスケットを齧って、おやすみなさい。
by dn_nd | 2012-08-19 10:31
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