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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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Z.N.A.T.2012#5「はぐれ者の挑戦。」
 同じ大陸上で、言葉も同じだし、文化も成り立ちも近いような気がするけれど、カナダとアメリカはかなり違う。違う国だから当然だが、国境を跨いだだけでこんなに違うかと感じる。すごく大まかに言うと、カナダに比べて、アメリカはとてもヒリヒリしている。明らかに危険そうに感じるし、目に見える形で虚無感や暴力がそこら中にある。それが国として住む人間にとって良いものかどうかは分からないが、だからこそ人々が憧れる様々なものが生まれてきたのは間違いない。あらゆる人間が自分を主張し、誰もが自分を通そうとした結果なのだろう。アメリカ人は、ある意味で、神や運命に対してまで自分を主張しようとしている。それは人間の限界でもあるが、限界に挑戦するからこそ、クリエイトするエネルギーを失わないのだろう。そしてアメリカは後ろを振り返ることなく、それを2世紀以上やってきた。今、このような国になっている。さて、この後も世界は同じようなものとして存在し続けるのであろうか。

 Clevelandでのアメリカ最初のショウは、地元のサポートバンドが二つあって、そのどちらもなかなか惹きつけるバンドだった。やはりアメリカは層が厚いのだなと感心する。ラフでタフで誰のものでもない、他者の目や流行廃りを気にしない音楽達。もちろんズボンズは感心してばかりはいられない。ボクらはボクらの音楽を認めてもらう為に(けっこう大変な思いをして)来ているのだから。という訳で、Clevelandの夜は躊躇なくやり切ったライブショウとなったのでした。終演後、ボクはもうグッタリして立てなかったほどである。(もしかしたら、ショウの前に飲んでいたウィスキーのせいかも知れない。だって「ツーフィンガー分下さい」とオーダーすると、ストレートのウィスキーをグラスに容赦なくなみなみ一杯つぐのだもの。)何もかもがアメリカに来たなぁ、と実感させる。

 朝、モーテルの豪華な朝食を食べ(ワッフル、マフィン、シリアル、ドーナッツ、パン、ヨーグルト、フルーツジュースにコーヒー、と何でもある)、お昼は道中のメキシカンレストランに立ち寄り(全員、全然食べ切れなかった。宿題である)、今日の街Columbusに着くとお気に入りの街のドーナッツ屋Buckeye Donutsで1個買い込み、今会場であるAce Of Spadeに着いたところである。Columbusはカレッジタウンである。理知的な若者がたくさんいて、街は活気がある。でも、カレッジに通う人間がロックンロールを聴く訳ではない。ロックンロールを聴く人間は、「はぐれた」人間達である。はぐれ者は、決して若者だけではない。そうして、この国のはぐれ者達は、やはり自分を主張する。このオレが「はぐれ」ていて何が悪いのか、と。だから年を重ねても「はぐれ」をやめない。はぐれ者にとって何か一般的な生き方に模範を求めたりしない。行き着くところがどこかは分からないが、とにかく「はぐれ」のままで生きていくのだ。それは、やはりアメリカ人的な、運命への挑戦なのかもしれない。

 さて、今晩のローカルバンドも機材を運び込んできた。やろう。
by dn_nd | 2012-09-26 10:06
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