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ズボンズのリーダー,ドン・マツオの思考あれこれ。
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新曲"Mark 1(of love)"が出来ました。
 今度の新曲のタイトルは"Mark 1(of love)" である。

 "Mark 1"というのは、知っている人も多いと思うが、The BeatlesのTomorrow Never Knowsのワーキングタイトルとしてジョン・レノンが呼んでいたものであり、何故かボクはエルガイムというアニメのロボット(ヘヴィメタル、といったか)をも思い出す。"(of love)"というのは、Small Facesの名曲"Afterglow(of Love)"に敬意を表して頂戴した。このコードのダイナミクスは自分の音楽遍歴の何処かに繋がっているのだがなと記憶を掘り返してみて辿り着いたのが、この曲だったのだ。いつものようにその引き出しの奥に仕舞い込まれていたのを、無意識で引っ張り出してきたのである。作った後に「何だったかな、これは」そして「あぁ、そうか」と気付く。結局これまで聴いてきて心に残ったものをあっちからこっちから引っ張り出し再構成して、自分の作品としているのである。そう書くと、どことなく詐欺行為のように思えなくもないが、ボクに出来るのは、それを聴いてもらってガッカリさせないような物として作り上げることである。ジョン・レノンとスティーブ・マリオットに乾杯。良い仕事をどうもありがとう。ボクはとっくにキミらよりもずっと年を取ってしまったのだが、まだまだ努力中だ。

 ダムが決壊するような、雪崩が起きる時のような、ダイナミックな曲にしようと思っていた。

 今自分は、一体どのような状況を生きているのだろうか、と考え続けている。人間の価値観や欲望の在り方が、これまでよりもずっと大きく変化していると感じているのだが、どうなのか。その地盤の液状化現象のような変化(災害と言っても良いのかも知れない)に現在進行形で対処しつつ、今までの自分の持っていた「理想」なるものを固持する努力もしなければならない。そうしていないと虚無に飲み込まれてしまい、世界よりも先に自分の方が崩壊してしまう気がする。崩壊するのは、これまで自分が大事にしてきた物事全てである。しかし、それらが崩壊したままでも生きていくことは可能なのが、又苦しみの素となる。「理想」とはいつまで抱え続ければ良いのか、いつまでも抱え続けることが出来るのか。おれは「理想」を理想化し、必要以上に固執してしまっているのかも知れないなあ.........などとブツブツ考えながら歌詞を書いた。近しい人間が亡くなり、人間の行き末のようなことも考える。変な事件が頻繁に起こり、人間の理性や倫理の現在について考える。しかし結局すべての人間がいずれ灰になることに思いを馳せる。そして、「愛」という実体不明な存在/非存在だけが人間の拠り所なのだと納得する。しかし愛が解決してくれるのではない。それをやるのは、愛を信じる人間の行為なのである。

 今回の一連のセッションの中で、一番最初に完成した曲である。タイトルは歌詞を書き上げてからつけ直そうと思っていたのだが、もうシッカリと刷り込まれてしまっていたので変えないことにした。(いつの時代になってもTomorrow Never Knowsだ、とも言えるのだし)アルバムはそろそろ完成で、来年2月に発売する。タイトルは"Arcadia Blues"。キャプテン・ハーロックが乗っていたアルカディア号。アルカディア、とは理想郷のことである。Bluesに関しては、書くまでもない。
by dn_nd | 2014-11-03 11:37
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